先日のカウンセリングでは意外な話題で1時間が過ぎました。私がAvicii氏の “Wake Me Up” の歌詞を、自分の状況に重ね合わせながら自分なりに解釈したノートをもとに、この曲とAvicii氏の表現活動について、カウンセラーさんとみっちり話す回になりました。
(歌詞解釈の詳細はこちら)
Avicii – Wake Me Up (Official Lyric Video)
なぜこの話題に終始したのかというと、私はトラウマの心理療法の一過程である「グリーフワーク」に取り組む段階にいながらも、日常生活の中でそのワークに取り組むのがあまりにも辛く、耐える気力がなくて、前回のカウンセリング以降、まともに進められていなかった現状を、ありのままにカウンセラーさんに吐露しようと気が向いたためです。
その私の心境をこれ以上ないほどぴったりと言い表し、進むことのできない状況のなかにいる自分をそのまま受け止める支えとなってくれたのが、 “Wake Me Up”でした。
私が中学生の頃にリリースされ、かなり有名なこの曲。私はこれまで10年以上、疾走感のある曲調で憂いを含んだ歌詞を歌い上げたEDM、としか捉えておらず、自分で聴く機会も多くはありませんでした。
ところが、今年の2月13日、トラウマのフラッシュバックで苦しんでいた最中に、突如としてこの曲のイントロであるギターの旋律が頭の中に流れるという不思議な体験をしました。イントロが頭に流れた瞬間、サビの歌詞 “So wake me up when it’s all over, when I’m wiser and I’m older”を思い出した私は、これまで深くは捉えていなかったそのフレーズに、自分の近頃の心の状態がいかに重なっているのか、驚かされました。この出来事をきっかけに、重苦しい感情が湧き起こるとき、この曲も一緒にやってきて頭の中で流れるという日々が続きました。
このようにして、 “Wake Me Up”の歌詞に自分なりに向き合う機会を得ました。Avicii氏が込めた真意は私の知る範囲では存じ上げませんし、解釈に正解はないはずです。私なりには、「人生を大切にしたい。大切だと思ってる。でも、この先を行くのは、苦しすぎる。足が止まってしまいそうだ。でも、それがもったいないことも痛いほどわかってる」そんな主旨かもしれない、という印象を受けました。
あの若さで亡くなってしまったAvicii氏。EDMの作り手として世界的に有名な方で、詩的で奥妙な歌詞に惚れ込み大切にしている曲が私にもいくつもあります。
“Wake Me Up”の歌詞における語り手は、向き合うことを強要されるほどの苦しみを抱え、生きること自体を抱えきれなくなっていると、私は捉えました。まさに私の状態です。先日のカウンセリングは、 “Wake Me Up”の歌詞と照らし合わせながら、私やAvicii氏それぞれの人生で、向き合うのが耐え難い苦しみの中で、それに向き合う道を行くしか生きる道がないこと、それを選ばないとしたら、残る選択は死であること……込み上げるこの痛切な心の葛藤を、Avicii氏の存在をしのびながら、涙ながらに言葉にしていく時間になりました。
「グリーフワークに取り組むと決めたから、頑張らなくては」と意気込んだ状態から一転、傷に向き合う力がなくなり、グリーフワークに取り組めない状態にある日々を、ここ1ヶ月ほど送っていました。その自分のありさまを否定的に捉えてしまっていたなか、カウンセラーさんにwitnessとなっていただきながら、 “Wake Me Up”の歌詞が自分をありのままに受け止める力となってくれ、「グリーフワークに没頭しなくても大丈夫。それもあなたの自由だし、力だよ」という言葉を、自分にかけることができるようになりました。
カウンセラーさんが私の言葉を聞きながら、ご自身でもそれを言い換えて表現してくださったなかで印象に残っているのが、「向き合うのが大事なのはわかっているけど、それがしんどいという本音を言ってはいけないのか?その自由まで奪われるのはおかしい。力がない、と言うことも人権であって、蹂躙されるべきじゃない」という言葉です。どうあがいても本音は本音。それを受け止められる方向に進みはじめられたありがたさを、しみじみと噛み締めています。
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