「嘆きの仕事」をしようとする
二の腕に力が入る
体のあちこちが熱を発し始める
気を紛らわすためにマニキュアを塗ろうとする手も
小刻みに揺れて 止まることを知らない
「ロレーナ事件」の彼女が 震えのせいで 客に施したマニキュアがひどい有様だったように
前に進んでいるはずなのに
どれくらい痛むかわからないから
想起することを避けてしまう
思っているよりも癒えていないことに 麻痺して 気づいていないだけなのだろうか
痛み止めを飲み続けていて
もし飲まなかったら 本当はどれくらい痛いのかわからなくて
もしかすると痛むのが嫌だから
試しに飲まないでみるのを ずっと拒んでいるみたいだ
今日 今 これくらいの痛さでも
明日 来月 来年 どれくらい痛むのか わからないから
何も喜べない 少しも安心できない
やっかいな病巣だ
昨日 少し明瞭になった彼の姿を見た気がした
「なんだ、結構嫌な人だったじゃないか」と 笑い飛ばした
「あんな劣等感と僻み、プライドの塊みたいな人、知らない」
それは「酸っぱいブドウ」なだけなのか
いまだにこの「化石」に救いを見出そうとしている自分がいる
そこに本物のアタッチメントがあるかもしれないという一縷の望みを
もう手の中に何もないかもわからないのに
ずっと手を握りしめて離さないでいる
長い目で見たらいいのかもしれない
片付いたのかどうかを 〈今〉 確認しようとしなくていい
手に刀を持ったまま 今ここ 目前 背後に危険がないか 体を昂らせる代わりに
ここからさらに月日を重ねながら 寛容に構えて
どんなふうに流れるか 全部受け入れて ゆったりと見ていよう
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